DATE:2021.04.22
地域とコミュニケーションを深め、オンライン診療の啓蒙に取り組む|吉田機司クリニック
長年、地域に密着したかかりつけ医として、顔の見える関係を築きながら患者さんと丁寧に向き合ってきた吉田機司クリニックの吉田明弘院長。LINEドクターをどのように活用しているのか、お話を伺った。
吉田機司クリニック 院長 吉田明弘先生
診療科目:内科、小児科
埼玉医科大学卒業後、日本医科大学第一内科へ入局。昭和初期に祖父が千葉県市川市に開業し、父の代で葛飾区鎌倉に移転した吉田機司クリニックの院長に2008年就任。専門の一般内科、小児科の診療に加え、地域のかかりつけ医として、ほぼすべての疾患の初療にあたる。患者の一人ひとりと向きあいながら、気軽に健康の不安を相談できるホームドクターを目指している。2021年1月からLINEドクターを導入。オンライン診療の認知拡大に力を入れている。座右の銘は「夢の実現」。
受診控えによる患者さんの体調悪化をオンライン診療で防ぎたい
いつも使っているLINEなら「簡単にできそう」と思った
——吉田機司クリニックでオンライン診療を導入した理由を教えてください。
新型コロナウイルス感染症の影響もあり、最近は病院に行きたくないという患者さんが増えました。「いつものお薬はほしいけれど、感染症がこわいから外に出たくない」と。その気持ちはよくわかります。けれど、それで体調が悪くなってしまっては大変です。
こうした懸念を抱いていたときに、LINEドクターのクリニック募集を見つけました。当初はオンライン診療なんて難しそうだなという印象を持っていましたが、日常的にみんなが使っているLINEなら私自身も患者さんも気軽に使えるのではと思い、すぐに申し込みました。ほかのオンライン診療サービスも見てみましたが、親しみやすさと簡単さという点ではLINEドクターが突出しており、サービスの選定に迷いはなかったです。
——実際、LINEドクターを始めるにあたって、難しい点はありましたか?
びっくりするほどスムーズでした。当初は設定が面倒なのではと不安があったのですが、届いたマニュアルがとてもわかりやすく、ITに不慣れな私でも1人でスムーズに設定できました。また、無償でヘッドセットやwebカメラが届くので、パソコンとネット環境があれば設備投資はほぼかからないのも安心ですね。操作については、いつも使っているLINEのインタフェースなので、すぐに使いこなせるようになりました。この点については、導入するクリニック側だけではなく、患者さん側にとっても大きなメリットだと感じています。運用開始してからもLINEのサポート体制がしっかりしており、何か困ったときにはすぐに相談ができるのでとても助かっています。
スターターキットを活用して、地域で幅広く告知する
——LINEドクターの導入について、患者さんにはどのように告知されていますか?
申し込み後に届いたスターターキットがすごく役立っていますね。「LINEで診療はじめました」と告知ができるポスター、リーフレット、シール、名刺サイズのクリニックカード、POPやステッカー等がセットになっているので、告知に活用しています。
ポスターはクリニックに掲示するほか、門前薬局さんにもお願いして貼ってもらっています。また、使用方法が記載されているリーフレットはクリニックの受付に置いて、気軽に手に取ってもらえるようにしています。
特に助かっているのが、クリニックカードです。LINEドクターの当院のページに直接アクセスできるQRコードがついているので、ご説明するときに重宝しています。まずは顔の見えるところから広めていこうと思い、いつもお世話になっている業者さんや、知り合いのお店、仲間うちなどにも、このクリニックカードを配って「LINEドクターを始めたよ」と告知しています。
「じゃあ、今度具合が悪くなったときに試してみるよ」といったポジティブな反応をいただくことが多いですね。だいぶ配ったので、導入して間もないのにカードがもうなくなりそうですが(笑)LINEドクターを導入したからには積極的に活用していきたいですから、そのためにも、まずは地域の方に広く知っていただくための取り組みに力を入れていきたいです。
かかりつけ医から丁寧に案内することで、患者さんの不安を取り除く
まずは、オンライン診療が何かというところからしっかりと説明を
——スターターキットの活用のほかに、患者さんとのコミュニケーションで工夫していることはありますか?
来院された患者さんにはパンフレットやクリニックカードを渡すだけでなく、診療後に実際にスマートフォンでLINEドクターの使い方をお伝えしています。手間はかかりますが馴染みのあるかかりつけ医から直接教えてもらうほうがインパクトもあるでしょうし、患者さんも安心してご利用いただけると思いますから。
——患者さんにお伝えするなかで、LINEドクターに対してどんな反応がありましたか?
若い方、日頃からオンラインに慣れている方は興味を示す方が多いですね。小さなお子さんがいらっしゃる方からは、「病院に行く時間がないときに先生に相談できるのは助かる」といった声がありました。しかし、実際のところ、オンライン診療自体がまだよく知られていないので、まずはどういうサービスなのかをしっかりとお伝えしていくことが大切だと感じています。そこで、クリニックのHPを一新し、オンライン診療やLINEドクターについて紹介するページを作りました。診療の流れや予約方法、費用について明記し、はじめての方でもスムーズに使えるように工夫しています。
一般外来とオンライン診療の予約時間をずらし、混雑を回避
オンライン診療は新しい医療のあり方として可能性を感じる
——LINEドクター導入にともない、運用面で工夫していることはありますか?
LINEドクターでの診療は受付から診療まで私1人で担当しており、対面診療をおこなう一方で、予約時間が来たらオンライン診療をおこなっています。オンラインですと1人の患者さんにつき15〜20分くらいで一通りの流れが終わります。
工夫している点としては、オフラインの診察で集中する時間とオンライン診療の予約時間をずらすことです。当院は9時から診療開始ですが、朝一番は一般外来患者さんで混雑することがあるため、オンライン診療の受付は9時半からにしています。
——LINEドクターを導入して良かった点はありますか?
やはり、患者さんに喜んでいただけることが一番ですね。
先日も、下痢の症状がひどくて来院が難しい患者さんにLINEドクターで診療して処方箋を出したところ、「先生、本当に助かったよ」とおしゃってくださって。仕事や子育てで来院の時間が取れない方からも、「時間が有効活用できて便利。また使いたい」という声をいただいています。こうして患者さんが喜ぶ姿を目の当たりにすると、新しい医療のあり方として可能性を追求していきたいという思いが強くなっていきますね。
患者さんの笑顔のために、一歩踏み出してみる
——実際に活用して感じたことを含め、オンライン診療の導入を検討しているクリニックへアドバイスをお願いします。
私自身、最初は典型的な食わず嫌いで、「オンライン診療なんて私には縁がないもの」と思っていました。また、聴診や触診ができないオンラインだと診察時に症例を見落としてしまうかも、という不安もありました。
その点、LINEドクターでは予約時に患者さんが事前に自身の様子を記載した「セルフチェックシート」を確認することができるので、対面での診療が必要と判断した場合は患者さんにご説明のうえ、オンライン診療をお断りして来院を促すことができます。このように症例を振り分けていくことで、オンライン診療のメリットを活かしながら、効率よく運用することができると思います。
「まずは試しに」という軽い気持ちで始めましたが、使っているうちにもっとこういう使い方ができるのではとアイデアが浮かぶこともあります。ただ利用するのではなくて、このシステムを育てていくつもりでLINEドクターの担当者の方々と連携をとっていきたいと思っております。今はコロナ禍ということもあり、患者さんの不安を取り除き、利便性を高めるという点からもオンライン診療は今後も積極的に活用していきたいと考えています。
LINEドクターは手軽で、はじめる敷居がとても低いので、「まずはお試し」という気持ちで一歩踏み出してみると、新しい発見があるのではないでしょうか。