ここクリニック(横浜市港北区)の院長である岡田里佳先生は、待ち時間の長い患者さんの負担を軽減するために、約5年前からオンライン診療を始めた。現在はLINEドクターを用いて、花粉症を含めたアレルギーや皮膚科の病気を中心に幅広く診療している。実際に花粉症の方がオンライン診療を使うとどんなメリットがあるのか、岡田院長に詳しく伺った。
花粉症はオンライン診療に向いている
──まず、先生の自己紹介とオンライン診療の活用について教えてください。
私の専門は皮膚科(特にアレルギー疾患)で、2020年に地元である日吉(横浜市港北区)でクリニックを開業しました。開業前からオンライン診療を始めており、現在は導入しやすいLINEドクターを活用しています。
皮膚科外来の待合室はとても混みますが、オンライン診療なら待合室で待たずに受診できますし、感染の心配がありません。定期的に受診している方や忙しい方には積極的にオンライン診療をおすすめしています。花粉症なら「来年また同じような症状が出たら、オンラインでも受診できますよ」とご紹介しています。
──花粉症はオンライン診療に向いていますか?
そう思います。典型的な花粉症の症状(鼻水やくしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなど)ならば、オンライン診療で対応できる場合がほとんどです。
鼻水やくしゃみといった花粉症の症状は風邪と見分けにくいので、公共交通機関や待合室などで人目が気になる方には、オンライン診療がおすすめです。また、花粉に触れると症状が強くなりますので、外出せずに家の中で受診できるのもメリットです。症状がつらくてすぐ治療したい方にも、待合室で待たずに受診できるオンライン診療が適しているのではないでしょうか。
花粉症の治療は早く始めるほど効果が高い
──花粉症のシーズンはクリニックが混み合いますよね。
花粉は風が強い日や晴れた日に多く飛散するため、症状も強くなります。そういう日の翌日は特に混む印象があります。症状が出てから受診する方が多いのですが、花粉症は早めに治療を開始して、早い時期から薬を服用した方が効果的です 。症状が出る前から受診されている方もいらっしゃいます。
去年、花粉症の症状があった人なら、おそらく今年も症状が出るはずなので 、あまり様子を見ずに早めに受診することをお勧めします。
花粉症でオンライン診療を受けている方からは「こんなに簡単に薬をもらえるんですね」「すごく便利で、来年もぜひ使いたい」という声をいただいています。医師としても、花粉症を我慢せずになるべく早く治療を開始してもらいたいので、オンライン診療でそれが実現できるのは、お互いに良いことだと思います。
花粉症のオンライン診療、実際の流れは?
――では、実際に花粉症の方がLINEドクターでオンライン診療を受けたときの流れを簡単に教えていただけますか。
当院の場合は、予約の時間帯に当院から患者さんにLINEのビデオ通話をおかけします。事前に書いていただいた問診票を見ながらお話しします。以前はどんな薬を飲んでいたのか、他の病院から処方されていたのか、薬局で買った市販薬か、その薬は効いていたのか、眠気は気になるか、どんなタイミングで飲んでいたのか、どんな薬の形状が飲みやすいのか、といったご希望などを聞き取って、その方に合った薬をご提案します。
お薬については、オンライン診療後に別途薬局からLINEのビデオ通話による処方薬の説明(服薬指導)を経て、直接ご自宅に配送することができます。診療からお薬の受け取りまで外出することなく完結するので、外に出たくない方にとっては便利です。
※院外処方のクリニックの事例です。院内処方に対応しているクリニックの場合は別途薬局からのLINEのビデオ通話はありません。
――その後のケアはどうなりますか?
当院の場合は、薬を1~2週間分お渡しして、薬がなくなる頃に再診の予約をお願いしています。もし効き目がいまひとつなら、再診時に相談してくれれば薬の種類や量の変更を検討します。それ以上の期間の処方を希望される場合にも、状態を見ながら可能な場合もありますので、ぜひお気軽にご相談ください。
もし、薬が効かずに症状がつらいなら、2~3日後など早めに再診してください。「花粉症でこの薬を飲んでも効かなかった」と話していただければ、スムーズに診察は進むはずです。
薬局の薬で我慢せず、オンラインで気軽に受診しよう
──病院へ行く時間がなく、薬局の薬で花粉症の時期を乗り切っている方はどうしたらいいでしょうか。
薬局で買えるOTC薬(以下、市販薬)で症状が十分に抑えられるのならいいのですが、あまり効かなくて我慢しているなら、医師が処方した薬(以下、処方薬)を使った方がいいと思います。
また、経済面でも受診した方がお得になる場合があります。花粉症の方は3か月ぐらい継続してお薬を飲む必要がありますので、市販薬を買い続けるよりは、健康保険を使って診察と投薬を受けた方が安くなる場合もあります。特に「このままの薬でいいのか」「別の病気で薬を飲んでいるが、大丈夫か」といった不安や疑問がある方は、その相談も一緒にできます。
市販薬を使っている方の中には、忙しくて受診する余裕がない方もいらっしゃるかと思います。そのような方にはぜひオンライン診療を活用いただきたいです。
花粉症はオンライン診療だけで大丈夫なの?
──オンライン診療では花粉症の検査ができないと思うのですが、検査はしなくていいのですか?
花粉症の確定診断をするときに、採血検査やアレルギー検査はマストではないと考えます。 とにかく症状を抑えたいとのご希望であれば検査の必要はないので、オンライン診療で十分に対応できます。
もし、花粉症に関してオンライン診療では不十分なパターンがあるとすれば、とても重症な花粉症です。重症花粉症には注射薬があり、注射する場合は採血検査をする必要がありますので、対面診療でないと厳しいです。
──かなり重症の花粉症というのは、どのような症状を指すのでしょうか?
診断基準としては、1日に21回以上くしゃみが出るとか鼻をかむとか、鼻づまりがひどい場合が該当します。しかし実際には、患者さんはくしゃみ回数などを把握していないと思いますので、通常の花粉症の薬では効かなくて、よく寝られないぐらいつらいとか、仕事や生活に支障が出ている場合に重症と判断することが多いと思います。
――重症かどうかの判断も含めて、まずはオンライン診療を試してみるのはよさそうですね。
花粉症は1年のうちの一時期だけなので、病院に行かずに我慢する人は少なくないのではないかと思います。LINEドクターなら、いつも使っているLINE経由で簡単に受診でき、すぐに治療を始められます。早めに治療することで症状を抑えやすくなりますので、ぜひお気軽にオンライン診療を試していただけたらと思います。