東京都世田谷区にある浅川クリニックは、親子3代・60年以上にわたって地域のかかりつけ医として診療を行ってきた。3代目の浅川貴介先生は、幅広い年齢層のさまざまな悩みに対応できるよう医師のキャリアを積んできた。仕事や子育てなどで忙しい人も医療にアクセスしやすいように、LINEドクターで診療から薬剤配送までワンストップでできるオンライン診療を提供している。浅川貴介先生の診療ポリシーや得意分野などについて聞いた。
※浅川先生にインタビューを実施し、頂いたコメントを弊社にて一部編集して掲載しています。
父の背中を見て、何でも対応できる“町医者”を目指した
──まず、先生が医師になった理由やきっかけを教えてください。
私はほぼ全員が医師という家庭に生まれ育ちました。父方の祖父が産婦人科医として世田谷で開業しており、母方の祖父も医師でした。
医師になることを意識したのは高校生のときです。交通事故による中学時代の仲間の急逝や、祖父や祖母の逝去を通して人の死を身近に感じました。そんな中で父が働いている様子を見て、やっぱり医師の仕事はすごいな、私も医師になりたいなという気持ちが固まったことを鮮明に覚えています。
──医師としてどのようなことを志向してキャリアを積んでこられましたか?
医学生の頃から何でも対応できる“町医者”(プライマリ・ケア医)になりたいと希望していました。研修医の時に透析医療の現場を見た際、腎臓だけを診ているわけではなく、全身の内科の病気から外科手術まですべてを見通し、しかも生活や福祉などの社会的な問題も含めて多面的で幅広い知識を持って対応していました。これはプライマリ・ケアの理念に通じると思い、腎臓内科医としての修行を始めました。
※透析医療:弱った腎臓の代わりに、人工腎臓のフィルターを介して血液から尿毒素(老廃物や余分な水分)を取り除く治療のこと
働いている世代の悩みに寄り添う
──先生は腎臓内科を専攻されながら、総合内科専門医や産業医の資格もお持ちですね。
20~60代の就労世代に対しても予防的な観点を含めて貢献したいと考えて、産業医としても活動することにしました。
現在は産業医として、健康診断で異常が指摘された方やメンタルの問題を抱えている方などから相談を受けています。産業医資格に加え、労働衛生コンサルタントという国家資格も取得し知識を深めております。私は職場で働いている方の悩みを理解しやすい医師ではないかと自負しています。
就労世代のお話を伺っていると、やはり日々忙しく、平日の日中に医療機関を受診する時間がなかなか取れないようです。その点、オンライン診療であれば仕事や子育てなどで忙しい方に医療を届けることができ、生活習慣の改善や治療に対して前向きになっていただけるのではないかと考えました。そこでLINEドクターを導入したのです。
──オンライン診療システムとしてLINEドクターを選んだ理由は?
私自身、20代頃からずっとLINEを使っており馴染みがあるからです。診療からワンストップで処方薬を配送するサービスもあり、医療機関での待ち時間も、薬局での待ち時間もないので、忙しい患者さんにとって非常に親切なのではないかと思いました。
「患者さんのお話をよく聞く」診療スタイル
──先生の診療ポリシーや価値観についてお聞かせください。
当院は「患者さんのお話をよく聞く」診療スタイルをポリシーとしています。病気や検査値だけを診るのではなく、患者さんそのものを多角的に診ることを心がけています。経時的な変化や普段と違う体調の変化、些細な会話の行間など、さまざまな側面からその方を評価して、何か重大な問題が隠れていないかを常に考えます。継続的に診ることができれば、オンライン診療でも同様に対応できると思います。
──幅広い診療を提供するということですが、その中でも得意な分野は?
医学生の時から私はずっと動脈硬化に興味を持っており、博士論文も動脈硬化がテーマでした。簡単に言うと、動脈硬化は心筋梗塞や脳卒中などの原因となるもので、高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病が複合的に血管に作用して動脈硬化が起こります。これらは生活習慣、すなわち喫煙、肥満、食事や運動の状況などが関わっているので、そこに多面的にアプローチしていくのが私の診療の核になっています。
利用者には風邪の症状や高血圧症の方も
──LINEドクターで受診されるのはどんな病気の方ですか?
風邪の方が多い印象です。軽い風邪の症状で不快な症状を抑える対症療法の薬が欲しい場合はオンライン診療が向いていると思います。あとは高血圧症の方も来られますね。
──例えば、職場の健康診断で高血圧を指摘されて初診でオンライン診療を受ける方の場合、どのような診療の内容になるのでしょうか?
ご自宅で計った血圧値を参考にしながら診療を行っていくことが理想的なので、自宅で血圧が計れる方はオンライン診療に向いていると思います。
まずは健康診断で血圧の他に指摘があったかどうかを確認し、今までにかかった病気、家族に高血圧の方はいるか、生活習慣などをお聞きします。その次に自宅で測っている普段の血圧の状況も伺って、生活習慣の改善だけで様子を見られるか、薬剤が必要な状況なのかを考えていきます。
薬剤が必要な状況であっても、とても高い血圧(180mmHg以上)の場合はオンライン診療で薬を出すのは危険です。血圧が比較的高いけれど落ち着いていて、他に病気がなかったり重篤な可能性が低かったりして、本人のご希望もあった場合には、比較的弱い薬なら少量から薬物治療を始めていきます。
ただし、高血圧の患者さんは、もしかしたら他の病気も隠れている可能性もあるので、いざという時には対面診療での受診も検討していただければと思います。
オンライン診療に向けているか分からない時も、お気軽に相談を
──オンライン診療には向いていない病気や症状についてお聞かせください。
痛い・苦しいといった症状はあまりオンライン診療に向かないと思います。例えば、頭痛を訴えた方がくも膜下出血だったとか、肩の痛みが実は心筋梗塞だったとか、実は大きな病気が隠れていることがあります。また、感染症でも非常に高熱で重篤な症状のある方には向きません。
LINEドクターでは予約をする際に記入する問診票から多くの情報が得られますので、オンラインではなく対面診療がふさわしいと判断した場合は、診察に入る前にこちらから事前連絡を入れています。また、オンライン診療が始まってからこれは対面診療が必要だと思った場合には、お近くの適切な病院に行けるように手配をさせていただきます。
──症状があるのに忙しいからと我慢して医療につながらないのは問題で、対面でもオンラインでも、何らかの形で受診してほしいですよね。
そうですね。対面診療に行くことが難しい場合に、まずはオンライン診療を最初の入り口として、そこから必要な場合は医療の世界を広げていくのも良いと思います。