オンライン診療でも専門医の最新の医療を届けたい
オンライン診療でも専門医の最新の医療を届けたい

奈良県北葛城郡にある西川内科・呼吸器クリニックは、2022年に新たな院長・副院長を迎え、呼吸器専門医2名体制という全国でも珍しい診療所となった。医師の高い専門性と充実した医療機器を兼ね備え、大病院とほぼ同等の外来診療を提供しており、LINEドクターで診療から薬剤配送までワンストップでできるオンライン診療も行っている。今回は院長(圭美先生)および副院長(崇史先生)に診療ポリシーやLINEドクターによるオンライン診療の利点などについて聞いた。

※庭本先生にインタビューを実施し、頂いたコメントを弊社にて一部編集して掲載しています。

患者さんに寄り添うために医師になった夫婦

 

 

──まず、それぞれ医師になった理由やきっかけを教えてください。

 

圭美先生:父母ともに医療関係者だったので、幼い頃から身近に医療がありました。自分で考えて動けて、病と闘う患者さんに寄り添える仕事がしたいと思いました。

崇史先生:私も父が医師で、患者さんの病気を良くすることに心血を注いでいる姿を間近で見ていて、患者さんに寄り添える仕事に就きたかったことが理由です。

 

──お二人とも似たような状況で生まれ育ち、同じ志を持って医師になったのですね。お二人は母校の京都府立医科大学で出会ったのでしょうか?

 

崇史先生:知り合ったのは京都市立病院の呼吸器内科で同僚になってからです。私が1年先輩で、妻が後輩という間柄でした。当時の呼吸器内科はとても優秀なチームだったのですが、そのぶん厳しい環境なので、若手を悩ませてしまう面もありました。

圭美先生:夫は一番年齢が近かったので、仕事や人間関係のことを相談しやすかったです。夫は仕事には厳しい人でしたが、優しいところもあって、頼っているうちに仲良くなりました。

 

──圭美先生のご実家は整形外科クリニックですが、呼吸器を専門とされたのはなぜですか?

 

圭美先生:当初は父のクリニックを継ぐ気はありませんでした。自分の頭を使って診療できる内科の中でも、患者さんと接する時間が長く、幅広い病気(がん、感染症、アレルギーなど)を含んでいる呼吸器内科を選びました。

 

──崇史先生はなぜ呼吸器を選びましたか?また、妻の実家を継ぐという決断をされた理由を教えてください。

 

崇史先生:呼吸器を選んだ理由は、全身を診療・管理できる医師になりたかったからです。また、幅広い病気を診るので、使う薬剤も多岐にわたるのも、経験を積むにはもってこいだと思いました。継承した理由は、大学院で学位(医学博士)を取得した後に新たなチャレンジをしてみたいと思ったのと、幼い子どもと一緒に過ごす時間を大切にしたかったからです。夫婦で一緒のクリニックで働けば、家族を大切にしつつ、お互いに助け合っていけると思ったのです。

最新の正しい医療を患者さんに届ける

 

 

──西川内科・呼吸器クリニックの特徴を教えてください。

 

崇史先生:当院は、CT検査や喘息の有無を診断する検査など、普通の内科クリニックにはない医療機器を揃えており、私が勤務していた京都大学医学部附属病院や京都市立病院で行っていたのと同じ外来診療を提供できます。しかも、大病院では3時間かかる診察+検査を、当院であれば10~15分で終えることができます。また手前味噌ながら、しっかりと呼吸器および内科の研鑽を積んできた医師2人が在籍しており、大病院と同じようなクオリティの医療を届けられるクリニックだと自負しています。ちなみに呼吸器専門医は全国に約7000人強しかおらず、比較的少ないとされています(2021年8月現在)。その呼吸器専門医が2名所属するクリニックは全国でも珍しいのではないでしょうか。

圭美先生:呼吸器専門医×女性医師×開業医は希少だと思っています。患者さんの中には聴診などが恥ずかしい方もいらっしゃいますし、女性特有の悩みは女性医師の方が相談しやすいのではないでしょうか。実際に「女性医師がいい」と指定される患者さんもいらっしゃいます。

 

 

──診療の価値観やポリシーについて教えてください。

 

崇史先生:患者さんに寄り添いながらも、科学的な根拠(エビデンス)に基づいたレベルの高い診療を提供し続けるのが私のポリシーです。医療は日進月歩であり、10年前の常識は今の非常識です。医療知識のアップデートは絶対に欠かさずに、エビデンスレベルの高い最新の治療を常に提供できるように努めます。また、全員に必ず病気の説明をして、治療せずにおくとどうなるかをお伝えしています。通院や治療の必要性を理解していただいたうえで、一緒に病気を良くしていくというスタンスです。しっかりお話を聞いて寄り添い、患者さん一人ひとりのニーズや状況に応じてオーダーメイドの医療を提供します。

圭美先生:私もほとんど同じスタンスで診療しています。間違った医療ではなく、正しい医療を提供することがポリシーです。また、患者さんの家族構成や仕事の都合などに応じて通院の頻度や薬剤を調整するよう心がけています。

 

 

専門医にオンライン診療でつながれる時代

 

 

──貴院は2022年12月からLINEドクターを導入されました。その理由を教えてください。

 

崇史先生:LINEドクターの導入は私が先導して行いました。今後、オンライン診療が一般的な医療に大きく食い込んでくるだろうと確信したからです。そのとき、自分の患者さんに責任を持って継続的に関わっていくためには、オンライン診療のプラットフォームをしっかり作っておく必要がある。そうすれば、当院で診ている患者さんが遠回りをせずに最適な治療へアクセスできるはずだと考えました。

 

──いくつかあるオンライン診療のシステムのうち、LINEドクターを選ばれたのはなぜですか?

 

崇史先生:一番の理由は、新たにアプリを入れる必要がほぼなく、気軽にオンライン診療を始めることができるからです。LINEというブランドの認知度や信頼感は高いですし、実際に患者さんに紹介したときも安心して受け入れてくれています。LINEドクターなら病院の待合室で患者さんを待たせることがないし、処方薬も家まで届けてくれる。ドラッグストアで買える市販薬と、医師が処方する薬ではまったく効果が違うので、家にいながら処方薬が手に入るのは圧倒的に便利だと思います。当院の患者さんも大変喜ばれています。

 

──圭美先生は、崇史先生からLINEドクターを導入したいという話を聞いて、どう思いましたか?

 

圭美先生:私は新しいものを取り入れるのが苦手なので、当初は少し反対しました。開業医の役目は地元の患者さんが来て相談しやすいことだと思っていたので、オンラインでつながった患者さんに薬を処方するだけの浅い関係になってしまうのではと思い、抵抗感がありました。しかし実際にやってみると、花粉症など対面とオンラインでほとんど変わらない病気もありますし、呼吸器内科がない地域の喘息患者さんがリピートしてくれたこともあって、とても価値があることだなと思いました。

崇史先生:LINEドクターで診療の間口が広がりました。例えば、小さいお子さんのいる喘息患者さんで、通院が難しいという方にLINEドクターをご紹介すると「どうしても通院できないときに心強いです」と喜ばれました。さまざまな事情があって病院に行きにくい方は一定数いると思いますが、オンラインで投薬が必要な方にリーチできるのがいいですね。本当は来院いただいて聴診や検査をさせてほしいですが、受診・服薬せずに病気をこじらせるよりは、不完全な形であってもオンラインで医療とつながってほしいです。

「問診で9割」オンラインでも正しい医療を届けられる

 

 

──例えば、喘息っぽい症状があるのに、忙しくて受診できていない人が、初診でLINEドクターを使ったとしたら、どのような流れの診療になりますか?

 

崇史先生:一般的に「病気の診断の9割は問診による」と言われています。LINEドクターで問診して、喘息である可能性が高いなら、まず喘息の薬を試してもらいます。これが効けば喘息と診断できますし、効かなかったら別の病気を考えます。こんな風に治療薬を使いながら診断を深めていく方法は医学的に「診断的治療」と呼ばれています。聴診できないのはいわゆる「片手落ち」の状況なのですが、我々が専門医であるがゆえに、対面と同様にしっかりした呼吸器診療を届けることができます。患者さんに知っておいてほしいのは、医師は「これがダメなら次はこうする、良かったらこうする」というように、二の矢・三の矢を頭の中で組み立てて診療していることです。次々に別の病院にかかるのは、毎回一の矢ばかりで診療が深まらないのでお勧めしません。

 

──呼吸器の病気だけでなく、よくある生活習慣病にも対応されていますか?

 

崇史先生:脂肪肝や脂質異常症、高血圧などは対面でもよく診ています。生活指導は非常に大事な治療の柱ですので、オンライン診療で薬を出すだけではなく、生活指導も添えるように意識しています。私はたとえ話でよく「電動自転車をイメージしてください」と言っています。医師は電動の部分でアシストはできますが、ご自身で漕いでもらわないと病気は良くなりません。また、これらの病気の中には数か月に1度は採血検査した方がいいとガイドラインで推奨されているものもあるので、そのときは近くのクリニックで検査を受けるように促しています。

 

──オンライン診療に向いている/向いていない病気や症状についてお考えをお聞かせください。

 

崇史先生:整形外科などの処置が必要な診療科は無理だと思います。ただ、内科の病気なら問診が9割を占めるので、オンラインで与えられた情報の範囲内で診断・治療することは可能です。向いているのは高血圧と脂質異常症、高尿酸血症(痛風)ですね。オンライン診療は聴診や触診、検査ができませんが、その場でできる簡単なテストなどで状況を推し測ることもできます。受診せずに自己判断で様子を見ているよりは、オンライン診療で医師に相談した方が安心できると思います。対面診療の必要性がありそうなら、どの診療科に行くべきか、救急車を呼ぶべきかをアドバイスします。

 

──どの診療科がいいのか判断するのは、一般の方には難しいことなので、とても助かるのではないでしょうか。

 

崇史先生:はい。そもそもどの診療科が良いのかなどもアドバイスが可能です。なかなか通院の時間が取れない方も、気軽に医療にアクセスするという意味でオンライン診療も活用いただければと思います。