セカンドオピニオンのように活用できるオンライン診療
セカンドオピニオンのように活用できるオンライン診療

東京都渋谷区にある渋谷内科・スキンケアクリニックは、2022年12月に開業したばかりの新しい診療所。腎臓内科と総合内科を専門とする医師2名と、美容皮膚科を専門とする女性医師1名で開業し、中国語での診察も可能となっている。渋谷駅から近い立地でアクセスしやすいのに加え、LINEドクターで診療から薬剤配送までワンストップでできるオンライン診療を提供している。今回は院長・渡邉智成先生の診療ポリシーや得意分野などについて聞いた。

※渡邉先生にインタビューを実施し、頂いたコメントを弊社にて一部編集して掲載しています。

妹と信頼できる友人の医師3人で開業した

 

 

──まず、先生が医師になった理由やきっかけを教えてください。

 

高校3年生で進路に迷っていた時期に、祖父が体調を崩し、間もなく亡くなりました。担当医に聞いても「原因はよく分からない」とのことでした。なぜだろう、自分も医師の立場になって突き詰めたいと思ったのがきっかけです。

 

──先生は順天堂大学をご卒業後、腎高血圧内科で研修・学位取得されました。これは開業を視野に入れての選択でしょうか?

 

腎臓内科を選んだ時は、開業のことまで考えていませんでした。腎臓内科は内科のなかでも比較的特殊な領域で専門性が高いことと、当時志願したときの教授が魅力的な人柄だったので、それに惹かれたというのもありました。

 

──腎臓内科医でありながら、複数の美容医療クリニックで研鑽を積まれています。少し意外に感じるのですが、なぜ美容の経験を積まれたのでしょうか?

 

仲のいい美容皮膚科医の先輩に「働いてみないか」と誘われたことがきっかけです。実際にやってみると、施術後に患者さんが幸福感を得ている姿を見られて、美容医療に面白みを感じました。また、美容皮膚科に来た若い女性患者さんの中に鉄欠乏性貧血や腎臓の病気を見つけ、美容皮膚科から内科治療につながったことを何回か経験しました。美容を入口として、隠されていた病気を見つけられるという相乗効果を実感しました。

 

──普段あまり医療とつながりのない人の病気を見つけられるというのは大きな利点ですね。次に、先生が得意な診療科や病気を教えてください。

 

私は総合内科専門医の資格を持っているので、内臓に関すること(腎臓の病気など)や、高血圧や糖尿病も得意としています。それらが健康診断で引っかかった時などに相談いただくケースもあります。

患者さんに合わせて言葉を選び、病気の説明をする

 

 

──診療における価値観やポリシーを教えてください。

 

少しでも皆様の心が晴れて帰っていただけるよう努めています。病気を治療するとともに、メンタル面でも安心していただくことが重要だと思っています。母校(順天堂大学)の教育では接遇(態度、言葉づかい等)が重視されていて、教授をはじめ先生方には感じが良い方が多かったので、私もその教えを大切にして日々の診療にあたっています。また、患者さんの理解に合わせて病気の説明をすることを大切にしていて、難しい医学用語ではなく、最初は簡単な言葉でお話をして、理解が進んだらもう少し難しい言葉に置き換えるようにしています。患者さんの表情を見ながら、各々に適切な言葉でお伝えできるように準備しています。

 

──貴院では開業してすぐ(2023年1月末)にLINEドクターを導入されました。その理由を教えてください。

 

もともとオンライン診療は導入する予定でした。渋谷には他の地域から仕事や学業などで通ってきている若い方が多いので、ニーズがあると思ったからです。それで、どのオンライン診療システムがいいかなと検討したのですが、やはりLINEは多くの人が普段使いしているものですし、私の知り合いにもLINEドクターで受診している人が何人かいたので、これに決めました。

 

──いつも渋谷に通ってきている方が、何らかの理由で渋谷まで来られないときにオンライン診療でつながれるようにしたのですね。

 

そうなのですが、最近は「渋谷が好きだけど、遠方だから来られない」というような人が当院のオンライン診療を受けてくださることが結構あります。例えば東北地方にお住いの方が当院を気に入ってくれて再診してくださっています。その方は高血圧なのですが、地元ではきちんと病気の説明を聞いたことがなかったそうで、きちんと説明する当院の診療を高く評価してくださったようです。このように、本来なら接する機会がなかったはずの患者さんとオンライン診療を通じてお会いできる、意外な広がりがあることに面白みを感じています。

 

 

セカンドオピニオンのような活用法も

 

 

──貴院は腎臓内科、美容内科、漢方内科、性感染症内科、男性内科などを標榜されていますが、このうちオンライン診療に向き・不向きの症状についてお考えをお聞かせください。

 

検査がほとんど必要ない病気(花粉症など)はオンライン診療に向いていると思いますが、オンライン診療に向かないと判断した場合は、患者さんには「セカンドオピニオン的な感じで使ってください」と言っています。先ほどお話した東北地方の患者さんのように、地元のクリニックで検査・投薬をしているけど、きちんと説明してもらえていなくて、当院のオンライン診療をセカンドオピニオンとして使われている方は何人かいます。検査結果の説明やアドバイスをして、ご希望があればこちらで薬を出すことも可能です。なお、漢方は副作用が少ないものであればオンライン診療で出すことは難しくないと思います。

 

──男性内科というのは、具体的にはどのようなものでしょうか。

 

例えば、当院では男性更年期障害(加齢性腺機能低下症、LOH症候群)への男性ホルモン(テストステロン)注射ができますが、血液検査をする必要がありますし、注射なのでオンライン診療ではできません。他にはAGA(男性型脱毛症)などもありますが、男性内科という言葉が分かりにくいので、蓋を開けてみたら性感染症であったり高血圧であったりすることがあります。そもそも、検査が必要な病気・症状なのか、どの診療科が適切なのかを患者さんが判断するのは難しいので、まずはオンライン診療で気軽に相談していただければと思います。

 

──オンライン診療で自分に必要な医療を知るということですね。

 

そこは人それぞれで、例えば、基本的にはオンライン診療で完結できる花粉症の人でも、色々お話ししたら「先生のところでアレルギーの検査をしてみたい」ということで実際に来院してくださった方もいます。医師が一度、その人の悩みを聞くだけでも意味があると思います。納得した上で、次に適切な行動に移るきっかけとして使っていただいても、全く問題ないです。

 

──もしオンライン診察中に対面診療が必要だと判断した場合は、どのような対応になりますか?

 

緊急性があれば救急車を呼んでもらいます。そうでない場合は、当院に来られる距離なら、近いうちに来てくださいと伝えます。明らかに来られない場合は近くの病院をご自身で探してもらうことになります。もちろん、どの診療科に行くべきかアドバイスします。それがまさに総合内科専門医の仕事の一つですので。また、ご希望があれば紹介状を書いてご自宅に郵送することもできます。

皮膚症状や検査値などを事前に送信

 

 

──LINEドクターで受診する患者さんは、どういった症状の方が多いでしょうか。

 

皮膚科の病気(かぶれ、アトピー性皮膚炎など)や風邪、生活習慣病が多いですね。忙しくて薬をもらいに行けないという方がよくおられます。皮膚の状態や健康診断の結果などをあらかじめ写真に撮って、問診の段階で添付いただく事もあるので助かっています。オンライン診療中にビデオ画面で見せられても、粗くてよく見えないことが多いです。また、オンライン診療が始まる前に検査結果や血圧手帳などを手元に用意していただいておくとスムーズに診療が進みます。

 

──例えば高血圧の場合は、オンライン診療はどのように進むでしょうか。

 

普段からご自宅で血圧を測って記録していただくことが必要です。その記録を問診にて記載いただくといいですね。オンライン診療中に血圧の推移を見ながらアドバイスをします。情報は多ければ多いほどいいので、検査結果や記録はできるだけ手元に用意してください。ある程度のデータがあれば、あとは基本的に問診で診療を進めていけますので、対面とオンラインで診療内容は大きく変わることはないと思います。ただし、しばらく血液検査をしていない状態で薬だけもらって飲んでいるという方は副作用のリスクがありますから、その場合はどこかで検査をするように指導しています。

 

──血圧計を持っていないと、高血圧のオンライン診療は厳しいですか?

 

そうですね。血圧計を買ってもらうようお願いしています。健康診断で計った血圧値だけ見せてくれる方もいるのですが、血圧に関しては健康診断の値はあてになりません。健診会場や診察室など、非日常の場で測ると、緊張して血圧値が高く出てしまうことがあります。自宅で安静にして測った血圧が最も信頼できるデータですので、血圧が気になる方はまずはご自宅で血圧を毎日コツコツ測ってくださいね。