



三鷹ヒロクリニック北口本院(東京都武蔵野市)の院長である森原啓文先生は、脳神経外科医として国内外でキャリアを積んだ後、2021年に生活習慣病や頭痛などのよくある病気の保険診療に加えて、自由診療として美容医療もできるクリニックを開業した。開院とほぼ同時にLINEドクターによるオンライン診療を開始し、安心・安全を最優先とした医療を提供している。今回は風邪・新型コロナウイルス感染症・インフルエンザのオンライン診療について、森原院長に詳しく話を伺った。
※森原先生にインタビューを実施し、頂いたコメントを弊社にて一部編集して掲載しています。


こんなお悩みをお持ちの方へ




風邪・コロナ・インフルの違いとオンライン診療のメリット
──風邪を引いたときにオンラインで診療を受けるメリットとデメリットを教えてください。
オンライン診療の最大のメリットは、体調が悪いときに病院に行かなくて済むということです。お薬も配送を選択すれば自宅に届けてもらえます。一方、デメリットは採血やX線などの検査ができないことです。
風邪をこじらせると様々な検査が必要になってきますから、風邪のオンライン診療は初期の対応に向いています。風邪を引いたかな、ちょっと心配だなというときに、気軽にオンラインで医師に相談していただければと思います。
特に新型コロナウイルス感染症が流行しているときは、かかりつけ医の方で発熱患者の診療時間を制限したために対面診療に行けないということで、オンライン診療を選んだ患者さんが多くいらっしゃいました。


──普通の風邪と新型コロナウイルス感染症、インフルエンザの違いを教えてください。
私たちは熱、咳、鼻水、頭痛などが起こると、風邪を引いたかなと思いますよね。これらの症状は風邪を起こす病原体(ウイルスや細菌、マイコプラズマなど)による感染症である場合と、そうではない別の病気である場合があります。
一般的な風邪は、栄養を摂ってしっかり寝れば、体内の免疫が病原体をやっつけてくれて、自然に治癒します。つらい症状があると休養もままならないので、一般的な風邪薬(解熱剤、痛み止め、咳止め、鼻水止めなど)を使って症状を和らげます。このことを対症療法と言います。
新型コロナウイルス感染症やインフルエンザも重症化することがあるので、特別に病原体をやっつける薬(抗ウイルス薬)が開発されています。これに加えて対症療法を行い、休養しながら治癒を待つのが基本的な治療法です。
一般的な風邪の症状と、新型コロナウイルス感染症やインフルエンザとの違いを図にまとめましたので、参考にしてください。ただし、個人差があり、必ずここに示しているものと同じ症状が出るとは限りませんので、自己判断をせず、医師に相談してください。




コロナやインフルのお薬もオンラインで処方可能
──風邪の可能性が高いのか、別の病気なのかをオンライン診療で見分けることはできますか?
オンライン診療ではできることに制限はあるものの、工夫をすればある程度は診ることは可能だと思います。問診はもちろん、触診や視診の一部も行うことができます。
例えば、リンパ節が腫れているかどうかを確認したいときは、オンライン診療中に触ってほしい場所と触り方のコツを教えて、患者さん自ら触ってもらいます。押して痛みが出るかどうか、左右差があるかどうかを教えてもらうと診断に役立ちます。
また、咽頭部(のど)の写真を上手に撮って見せてくれる人もいます。口の中をライトで照らして、舌を下げて、扁桃腺の部分がよく見えるように撮ってくださると、とても診断に役立ちます。ただし、これは難易度が高いので無理して撮らなくても大丈夫です。
──オンライン診療で新型コロナウイルス感染症やインフルエンザの治療薬(抗ウイルス薬)を処方していただけますか?
インフルエンザに関しては、薬局で検査キットを買っていただいて、陽性であることが確認できれば処方できます。また、検査できなくてもインフルエンザのような症状が出ていて、その地域で流行しているようなら、陽性とみなして処方することは可能です。お住まいの地域でインフルエンザが流行しているかどうかも考慮して、診察を行なっています。
一方、新型コロナウイルス感染症に関しては、検査で陽性であることが確認できないと抗ウイルス薬は処方できません。そのため、薬局で検査キットを買ってもらい、ご自身で検査してもらう必要があります。私は確認のために使用済のキットの写真を撮って見せてもらうか、キットそのものをオンライン診療中に画面で見せてもらうようにしています。
ただし、コロナの抗ウイルス薬は自己負担額が高いので、陽性でも治療を躊躇する方が少なくありませんので、次善の策として対症療法や療養上のアドバイスをさせていただくことが一般的です。




風邪・コロナ・インフルの症状が悪化した場合の対応
──風邪を引いてオンライン診療を受けた後に、症状が悪化したらどうすればいいですか?
下記のような場合は、病院受診の検討が必要です。まずはご相談ください。


──上記のような状態までではないけれど、不安なときはオンライン診療で相談してもいいですか?
はい、不安なとき、迷ったときはいつでもオンライン診療で相談してください。アレルギー素因や咳喘息・気管支喘息の既往がある方は感染後咳嗽が長引くことがあります。そのような症状が持続する場合は再診してくださいと伝えています。この場合はオンライン診療でも通常の対面診療でも構いません。
風邪を引いたときは安静にして、しっかり休養をとることが大切です。体調の悪い中でわざわざ外出して病院の待合室で待たされるのは大変なので、オンライン診療の活用もご検討ください。









