



ここクリニック(皮膚科・アレルギー科/横浜市港北区)の院長である岡田里佳先生は、見て診察する皮膚科の病気とオンライン診療は相性がいいと考え、待ち時間の長い患者さんの負担を軽減するために、約5年前からLINEドクターを用いたオンライン診療を提供している。日焼けによるシミやそばかす対策においてもオンライン診療が活用できるのか、岡田院長に詳しく話を伺った。
※岡田先生にインタビューを実施し、頂いたコメントを弊社にて一部編集して掲載しています。
こんなお悩みをお持ちの方へ


暑い夏こそ、オンライン診療の活用を
──夏は皮膚科が混むそうですね。オンライン診療の方がおすすめですか?
暑い中に皮膚科まで行って、病院の待合室で長く待つのは大変ですので、オンライン診療を使うメリットはあると思います。毎年繰り返している汗疹(あせも)の薬が欲しいというような方や、日焼け対策にはオンライン診療が向いています。ただし、検査や処置を要する場合(例:水虫、マラセチアといった皮膚の感染症など)は対面診療を推奨しています。
──ここクリニックに日焼けで受診する人は多いですか?
特に日差しが強かった休日明けの月曜日は増える傾向にあります。処置が必要になるような重症の方から、軽い人までさまざまです。
──そもそも日焼けはなぜ起こるのですか? 日焼けとシミ、そばかすとの関係も教えてください。
一般的に、肌に影響する紫外線にはUV-A(長波長紫外線;320~400nm)とUV-B(中波長紫外線;280~320 nm)の2種類があり、UV-Bは夏に照射量が増えます。これらが皮膚に当たると、紫外線から皮膚を守るメラニン色素が増えて、皮膚が黒くなります。ただし、表皮は1~2か月ほどで生まれ変わる(ターンオーバー)ので、日焼けした肌もいずれ元通りの色に戻ります。
しかし、年齢を重ねたり、炎症があったり、何らかの原因で肌のターンオーバーの周期が乱れていると、うまくメラニンが排出できずにシミとなって残ってしまいます。これが日焼けによってシミができる理由です。個人差はありますが、30~40代以降に肌のシワが増えてきたなと感じるときは、ターンオーバーが遅くなっているかもしれません。
そばかすは、体質的にできる人とできない人がいます。そばかすもメラニンが原因なので、紫外線に当たると一時的に濃くなることはあります。


日焼け予防をオンライン診療で相談
──日焼けを予防するためには、どうすればいいでしょうか?
第一は日焼け止めを塗ることです。汗で落ちてしまうので、1日1回ではなく2~3時間ごとに塗り直した方がいいです。塗り直しが難しい場合は、外出時は長袖を着るなどしてカバーしましょう。布1枚でも紫外線の量はだいぶ減りますよ。
──塗る日焼け止めには紫外線吸収剤(※1)と紫外線散乱剤(※2)がありますが、どちらを選ぶとよいですか?
※1 化学的な仕組みで紫外線が皮膚の細胞に浸透するのを防ぐ作用がある
※2 物理的な仕組みで紫外線を散乱し反射させる作用がある
紫外線吸収剤はかぶれてしまうことがあるため、肌が弱い人(これまでに化粧品などでかぶれた経験のある人、日焼けで肌が真っ赤になりやすい人など)は避けた方がいいと言われています。今では吸収剤の改良により、かぶれる人は少なくなってきていますが、気になる方は避けた方がいいでしょう。
紫外線散乱剤は吸収剤よりも肌にやさしいですが、塗ると白くなる(白浮きする)という特徴があります。肌が弱くなくて白浮きが気になる人は吸収剤が入っている製品を選び、敏感肌で荒れやすい方は散乱剤だけ(吸収剤フリー)の製品を選べばよいと思います。
──皮膚に湿疹ができていても日焼け止めを塗った方がいいのでしょうか?
皮膚に炎症が起こっているときに紫外線が当たると良くないので、自分に合った日焼け止めを塗るようにしてください。湿疹の薬などを先に塗って、その上から塗りましょう。ただし、チクチクして痛いというときは無理に塗る必要はありません。
──飲む日焼け止めというのも出てきていますが、これも飲んだ方がいいですか?
飲む日焼け止めに関しては、医療機関で取り扱いがある製品でもSPF(UV-Bを防ぐ効果)とPA(UV-Aを防ぐ効果)はとても低いと言われています。飲むこと自体は問題ないですが、それだけで日焼け止めの効果が十分にあるとは考えないでください。塗る日焼け止めにプラスして使う補助的なものと考えた方がいいですね。
──もしオンライン診療で「日焼け対策をしたい」と言われたら、岡田先生はどのように対応しますか?
まずは日焼け止めの適切な使い方のお話をさせていただいた上で、ご希望であれば飲む日焼け止めやメラニンの生成を抑える飲み薬(ビタミンC、トラネキサム酸など)をご紹介します。あとはシミを薄くする塗り薬のご提案もさせていただく場合もあると思います。日焼け対策についての処方などは、基本的には自由診療(健康保険が使えない)になります。


日焼け後のシミ予防をオンライン診療で相談
──日焼けには日焼け直後に肌が赤くなる症状と、数日経ってから黒っぽくなる症状がありますが、赤くなる日焼けの時期にはどのようなケアをすればよいですか?
日焼けして数時間~数日間、肌が赤くなったり痛くなったりすることをサンバーンと言います。これは軽いやけどをしている状態ですので、ケアはまず冷却することです。保冷材や氷水で押えて、凍傷にならないように気を付けながら冷やしてください。
皮膚の炎症を抑えるためにステロイド系の塗り薬を使うこともあります。市販薬でもいいですが、作用が強いものは市販されていないので、サンバーンが強めの場合はオンライン診療などで医師から薬を処方してもらった方がいいかもしれません。


──医療機関を受診した方がいいサンバーン(赤くなる日焼け)の目安を教えてください。オンライン診療でも大丈夫でしょうか?
痛みが強いとか、痛くて動かせないとか、水ぶくれができているといった場合は受診された方がいいと思います。特に水ぶくれができている場合は、細菌が感染してこじらせることもあるので、医師に診てもらった方が安心です。まずはオンライン診療でご相談いただいて差し支えないです。
──日焼けによるサンタン(黒っぽくなる日焼け)の時期ではどのようなケアをすればいいですか?
サンタンは肌が黒くなる時期なので、うまくメラニンを排出できるように、肌のターンオーバーを良い状態に整えるのが大切です。30~40代以降にシミやシワが気になってきた方は、ターンオーバーが乱れている可能性があります。
対策としては、肌を保湿したり、メラニンの生成を抑えるような飲み薬(トラネキサム酸、ビタミンCなど)や塗り薬がよく使われます。こちらもオンライン診療で対応可能です。


日焼け後のシミ消しをオンライン診療で相談
──もしオンライン診療で「日焼けによってできたシミを消したい」と言われたら、岡田先生はどのように対応しますか?
オンライン診療であれば、肌のターンオーバーを整えメラニンの排出を促す作用のあるビタミンA誘導体の塗り薬をご提案することが多いと思います。自由診療になります。
効果を実感するまでは約2ヶ月ほど塗り続けて、新しい肌に生まれ変わるのを待つ必要があります。
ただし、塗り始めの初期は肌が赤くなったり、かぶれることがあります。この状態で日焼けをすると強い炎症が起きてしまうこともあるので、注意して使いましょう。レチノールを含む市販品でかぶれた方が受診されることもあります。


──塗り薬でシミが思ったように消えない場合はどうしますか?
その場合はレーザー治療をおすすめします。1カ所の濃いはっきりとしたシミであれば、1回のレーザー治療で取れますが、多発している場合は費用や時間がかかります。また、肝斑などの淡いシミはレーザー治療が逆効果になることもあります。
レーザー治療自体は、クリニックに来院しないとできませんが、レーザー治療の適応になるかどうか、費用や時間がどのくらいかかるか、などはオンライン診療でも相談できます。









